アラ還オヤジの備忘録

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忙しすぎて部下の教育ができないというのは…


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以前、私は「毎月、マネジャー・トレーニングと称して、自らが講師となり2時間弱のセッションを持っていた」と書いた。1ヶ月の労働時間が仮に160時間だとした場合、2時間は全体の1.25%だ。それだけを見ると、大した負担はなさそうに見えるが、何の準備もせず、2時間の間、ただ、だらだらと自分の経験談(あるいは自慢話)を喋っていればよいわけではない。意味あるトレーニングを実施するには、それ相応の準備は不可欠だ。

たとえば、アンディ・グローブは自著「HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント)」の中で、上司による部下の教育の「てこ作用」について説明する際、トレーニングに必要な準備時間として「1時間あたりに、3時間の準備が必要だ」と仮定して計算している。

自分のガッツフィーリングとしても、大体それくらいの準備時間は必要と思う。だとすれば、2時間のトレーニングであれば、その準備には6時間を要することとなる。毎月合計8時間を部下のトレーニングに費やす計算だ。この数字を見て、皆さんはどう感じるだろうか。5/160だから、割合的には1ヶ月の労働時間のわずか3%なのだが、8時間と言えば、丸1日に相当するわけだから、「自分には、とてもそんな時間的余裕はない」と思われる方も多いのではなかろうか。

ベン・ホロウィッツも自著「ハード・シングス」の中で次のように述べている。

「皮肉なことに、教育プログラムを整備するうえで最大の障壁は、時間がかかりすぎるという人々の認識にある。」

しかし、そのような“認識”を、彼は次の言葉でバッサリと切り捨てている。

「忙しすぎて教育ができないというのは、腹が減りすぎて食べられないというのと同じだ。」

因みにアンディ・グローブによる「てこ作用」の計算内容は、以下の通りだ。

【仮定】

  • 講義時間1時間のトレーニングコースを4回実施した場合、一回当たりの準備時間を3時間とすると、マネージャーの所要時間は合計12時間。
  • 一方、そのコースに10人が参加し、彼らの年間労働時間を2,000時間とすると、総労働時間は20,000時間。

【結論】

「仮にそのトレーニングコースを受講することにより、参加者の業績を1%改善しうるならば、12時間の消費により、200時間に相当する利益を得ることになる。」

 

”参加者の業績を1%改善”という設定は、随分と控えめに感じるが、それでも、17倍強のてこ作用がある計算だ。「腹が減りすぎて食べられない」と言って済まされる数字はないように思うのだが、皆さんはどのようにお感じになられるだろうか?もちろん、そのようなてこ作用を得るためにはトレーニングの内容が重要だ。マネージャーは部下に対してどのようなトレーニングを提供すべきなのか、ホロウィッツもグローブもそれぞれの自著の中で詳しく述べているので、是非ご一読頂ければと思う。