アラ還オヤジの備忘録

雑感や、その他諸々。

合流新党と原子力研究


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今月前半、立憲民主党と国民民主党が合流した。議員数は約150で、11年前に民主党政権交代を果たした衆議院選挙の直前の議席に迫る規模らしい。一方、国民民主党の一部議員は合流新党には参加せず、新たに国民民主党として活動するそうだ。自民党に対抗するという目的からすれば、全員合流したほうがよいようにも思うが、合流しなかった議員にはそれなりの考えもあるのだろう。一部報道では、合流新党の綱領にある「原発ゼロ」に対する立場の違いによるという。合流新党に参加しなかった議員を支持する労働組合が「原発ゼロ」に反対らしいのだ。残念ながら、私の周りには電力会社関係の知人・友人がいないので直接話を聞く機会はないが、電力会社の社員やその家族が皆、原発推進派なのだろうか?

 

私自身が、原発に対してどう考えているかをここで述べても、世の中に何の影響も与えないのではっきり言うが、私は「原発ゼロ」に賛成だ。もし、次の選挙で合流新党が「原発ゼロ」を最大の争点とし、与党がしかるべき対案を出してこないのなら、私は多分、合流新党に投票するだろう。日本列島の成り立ちと、地球を覆うプレート運動のダイナミズムを考えれば、原発の敷地の地下に活断層のあるなしで、その原発が安全かどうかなど、どうして判断できようか。

 その一方、合流新党の党首・執行部が、口を開けば自民党の批判ばかり(実際は違うのかもしれないが、テレビのニュースで見る限り、そのような印象を持たざるを得ない)なのは、善良なる一市民の感情としては、正直、あまり心地よいものではない。マスコミでは派閥云々とも言われているが、決められた手順に則った民主的な方法で選出された日本の新しいトップに対して、国内はもとより、外交においても活躍してほしいと期待するのは、日本人として当然のことだろう。合流新党の議員の皆さんは、暫くの間、与党批判は封印し、「自分たちは何ができるのか」(例えばそれが「原発ゼロ」でもいい)にフォーカスして国民に訴えてみては如何だろうか。そのほうが、よほど今より支持率を上げることができると思うのだが…。

 

話が脱線してしまった。原発の安全性については、「東京に原発を!」(広瀬隆著)という本を思い出す。

今、手に入る文庫版の出版は1986年だが、もともとは1981年に出された本だ。”東京に原発を”とのタイトルは、もちろん逆説的な意味だ。”そんなに原発が安全というなら、東京に原発を作ってみたらどうですか?そのほうがよほど効率的で経済合理性がありますよ” というのが、著者の主張だ(と思う)。東京に原発を作らなかったのは、本当のところ、皆、原発は危険と思っていたからではないか。そして、その状況がおよそ40年たった今でも変わらないことは、9年前の事故で証明されてしまった…。

 

ここまで読んで、「実は以前、川崎市麻生区に原子炉があった」と聞いたら、皆さん、信じられるだろうか。ウソではない、ホントの話である。最寄り駅は新百合ヶ丘だ。旧武蔵工業大学(現東京都市大学)が1960年から研究炉の建設を始め、1963年1月に初臨界となったとのこと。その後、1989年に停止(2003年に廃炉が決定)されるまで、様々な研究に活用されたという。最大出力は100KW。福島第一原発一号機の出力は46万KW(二号機は78.4万KW)というから、商業用原子炉との規模の違いは歴然である。

 

冒頭に述べた通り、私は「原発ゼロ」派だ。しかし、その一方で、原子力に関する研究は継続していくべきとも思う。旧武蔵工大の原子炉でも、いわゆる物理化学的実験以外にも、合計108件にもぼる脳腫瘍及び悪性黒色腫への照射治療を含め、様々な研究が行われたという。また、原発ゼロにすることで、原子力に関する研究が滞り、これまで蓄積されてきたノウハウも継承されなくなったとしたら、国防の観点からも、国としてのリスクは計り知れないのではなかろうか。

 

つい一週間ほど前のニュースで、ロシアが新型の原子力砕氷船を完成させたと聞いた。動力源として小型の原子炉2基を搭載しているという。また、アメリカ航空宇宙局NASA)は2019年、原子力ロケットシステム開発を目的とした1億ドルの予算を獲得したそうだ。それで火星へ向けた有人飛行を目指すらしい。素人の私には、原子力”研究”という範疇に、一体どれほど多種多様な研究テーマがあるのか、知る由もないが、合流新党には、「原発ゼロ」と並行して、原子力研究のあり方についても、是非方向性を示してほしいと思う。