アラ還オヤジの備忘録

雑感や、その他諸々。

ヘンデルとクインシー


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映画「ディープ・インパクト」で、宇宙船「メサイア号」の乗組員の軍医がデューク大出身という設定だったと、隠れトランプとアメリカ人上司の中で書いたが、“メサイア”と言えば、今月28日に予定されていた、新日本フィルハーモニーの定期演奏会「ジェイド」シリーズの、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」公演が中止されたのは本当に残念だった。コロナ禍で仕方ないとはいえ、この公演は、新日本フィルの2020/2021 シーズンのプログラムの発表当初から、最も楽しみにしていたものだ。

 

日本では、年末の風物詩というと、ベートーヴェンの第九を思い起こす人がほとんどと思うが、自分の中では、「メサイア」のほうがしっくりくる。大学進学で田舎を離れる以前、私は、中学、高校の計6年間、欠かさず地元の合唱団が毎年12月に開催するメサイア公演に足を運んだ。きっかけは、中学の音楽の先生が、その合唱団の団員だったから(当時は素直な中坊だった)。会場は地元の公会堂、オーケストラは、確か在京の大学のオケだったと思う(記憶違いかもしれない)。開催されるのは、土曜の夕方で、仲間たちと町の行きつけの喫茶店で軽く腹ごしらえをしてから、会場に向かったのだった。今でもその時の高揚感のようなものが思い出される。

 

会場が暗くなり、演奏が始まる。決して短い曲ではない(というより大変長い曲だ)が、最後まで飽きることはなく、最終曲の「アーメン」が始まると、(これで終わってしまうのか)と何やら寂しい気持ちなったものだ。すでに40年以上前のことなので、ぼんやりした記憶なのだが、第二部の最終曲、あの有名な「ハレルヤ」は、客席にいる私たちも一緒に歌うことができたように思う。あれは、本番の演奏中だったのか、或いはアンコールのような形で、コンサートの最後にそのようなプログラムがあったのか…。

 

大学進学後は、田舎から足は遠ざかり、地元のメサイア公演を聴くことは、ついに一度もなかった。それが今から10年ほど前だったろうか、何故か無性に聴きたくなり、調べてみたら、既に地元の合唱団は解散されて、メサイア公演もなくなっていた。あとで母親から聞いた話だが、随分前に、件の音楽の先生が、私に合唱団に入らないかと、実家に誘いの電話をかけてきたことがあったそうだ。地方はいずこも人口減少で、合唱団の存続も難しかったに違いない。W先生は今もご存命だろうか…。

 

そんな訳で、「メサイア」には、それなりの思い出と思い入れがあり、数年前からコンサートに出かけてみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなかった。そんな中、昨年発表された2020/2021シーズンの新日フィルのプログラムに「メサイア」を見つけたときには、文字通り小躍りするほどだったのだが…。

 

話は変わるが、私は、自宅で音楽を聴く機会は、実はそう多くはない。時間の使い方がまずいのだろう、ゆっくりと音楽を聴く時間を持つことができず、もっぱら目覚まし代わりにCDをかけているくらいだ(それも毎回、同じ曲だ。そのあたりのことは、以前書いた“目覚めの音楽”のおすすめは?をご参照を)。

 

では、どこで聞くかというと、車を運転しながら、というパターンが一番多い。昔は気に入った曲のCDを車内に持ち込むスタイルだったので曲数にも限りがあったが、今はUSBメモリに好きなだけダウンロードし、車のUSBスロットにさせばストレスなしに再生できるので本当に便利だ。(因みに自分が使っているUSBメモリSanDisk Cruzer Fit 16GB。非常にコンパクトかつ安価で、スペックも必要十分だ。)

ジャンルは、クラシックやジャスの他、学生時代に聞いた洋楽、フォークやニューミュージック(今もこの言い方が通用するのか怪しいものだが…)の類も多い。一時期、めっきり聞かなくなったモノでも“一周回って”今の気分にマッチするものもある。最近は、山下達郎のON THE STREET CORNERシリーズあたりがお気に入りだ。

メサイア」も車の中で、と思わなくもないが、何しろ、あの長さだ。さらに言えば、曲の雰囲気が車中で聞くには“重すぎる”というか。ではどうするか。なんと、クインシー・ジョーンズがアレンジした「メサイア」があるのだ。CDのタイトルは、「Handel's Messiah: Soulful Celebration」。

あのメサイアがゴスペル調にアレンジされ、それを、スティービー・ワンダーやアル・ジャロウ、パティ・オースティン等々、ブラックミュージック界の錚々たるメンバー達が演奏しているのだ。「メサイア」を知らない人にもお勧めだ。また、普段はブラックミュージックを聴く機会はないが、原曲は知っているというクラシック愛好家のかたにも“一聴”の価値があると思う。1曲目の「Overture」のアレンジからして、“こう来たか”と思わせるものだし、3曲目の「Every valley shall be exalted」では、原曲通りのイントロから突然打って変わってビートが利いたアレンジになるのにニヤリとさせられる。そんな驚きが、終曲の「HALLELUJAH! ハレルヤ・コーラス」まで続くのだ。

 

敢えてわがままを言わせてもらえれば、第二部で終わりにせず、第三部の終曲「Amen アーメン」のクインシーバージョンを是非聞きたかったところだが、それは多くの望みすぎということか。

 

もうすぐクリスマスシーズンが始まる。ドライブしながらこのCDを聴く機会も増えそうだ。