アラ還オヤジの備忘録

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郵政民営化とハンコ


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今日は、昼からちょっと落ち着かない気分だった。郵便屋さんが午後に本人限定受取郵便を配達に来るのだ。

この“本人限定受取郵便”、あまりなじみがないが、本人以外に渡したらマズそうなものを送ってくるだろうことは容易に想像がつく。今回は自分が使っている、あるネット銀行からだ。

数週間前に、このネット銀行(ここでは“Z銀行”とする)からメールが届いた。(またどうせ、元本保証じゃない怪しい金融商品の勧誘だろう)と思ったら、今回はちょっと違った。Z銀行に限らず、ネット銀行のメリットの一つに、取引金額のレベルに応じて、振込手数料が何回か無料になるというのがあるが、その“振込”先を“登録制”にするというのだ。正確には、“ワンタイムパスワードアプリ”が使える端末、要はスマホを持っていれば登録不要なのだが、5G対応ガラホはかなわぬ夢かでカミングアウトした通り、自分はいまだにガラホを使っている。スマホを持っていない利用者は “お手続きに必要な書類をお送りしますので、コールセンターにお問い合わせください。”とのこと。(おいおい、わざわざ電話しなくちゃダメ?、ネット請求で十分でしょ?)と思いつつ、早速電話すると、今度は、“大変込み合っているので暫くお待ち頂くか、しばらく経ってからお掛け直し下さい”というお馴染みのメッセージが。しばらく経っても状況が好転しないのは経験上明らかなので、そのまま待つことにした。10分以上経過して、ようやくコールセンターの女性の声が聞こえてきた。さて、このオペレーターさん、きっとそれまでの電話応対でいろいろ言われたのだろう、明るい口調を装っているが、明らかにお疲れのご様子で、気の毒になるほどだ。言いたいことは山ほどあったが、まあ、それも大人げないと、メールに書いてあった“必要書類”を送ってほしいと、用件だけを簡潔に伝えた。こちらがずいぶん待たされているのは先方も承知のはずだが、そんなことはおくびにも出さず、さっさと用件だけで電話を終えることに、オペレーターさんの声からも安堵しているのが伝わってくる。電話口で聞かれた内容からも、ネットで請求できない理由はさっぱりわからなかったが、とにかく、無事、書類を送ってもらえることになった。

 

さて、その数日後、郵便物が自宅に届いたのだが、それはZ銀行からの必要書類ではなかった。郵便局からの“本人限定受取郵便のお知らせ”である。要は、Z銀行は件の“必要書類”を本人限定受取郵便で送ってきたのだ。(そこまで必要かぁ?)というのが第一印象。電話でわざわざ本人確認しているのだから、普通郵便でよくないかい?通帳とか、キャッシュカードが入っているならいざ知らず、まだ何も書かれていない用紙ですよ。

この時、思い出したのは、メールにファイルを添付するとき、パスワードを別メールで送られてくるケース。あれは本当に面倒だ。その時はいいのだが、しばらく経って、ラップトップに一旦保存したファイル開けたいとき、パスワードが記されたメールを探すのに、結構時間がかかったりする。送る側からすると、セキュリティーレベルを上げるためには、多少の不便は我慢して、ということなのだが、実は、この方法が“セキュリティーレベルを上げる”ことに、さほど貢献していないというのは、しばらく前からいろいろなところで話題になっている。自分はセキュリティの専門家ではないので、ここでそのことを議論するつもりはないが、少なくとも自分がこれまでやり取りがあった外国人ビジネスマンから、そのようなスタイルのメールは一度も受け取ったことがない。何のことはない、要は“ガラホ”ならぬ“ガラメール”である。(因みに巷では、最近この種のメールの送り方を“PPAP方式”を呼んでいるらしい。“Password付きzipファイルを送ります、Passwordを送ります、An号化(暗号化)Protocol(プロトコル)”の略だそうだ。)

 

さて、話が脱線したが、郵便局からの“本人限定受取郵便のお知らせ”の封を開けると、今度は、配達してほしい日時を電話で連絡しろと言う。また、電話ですか。全く、就任当時のやる気満々の様子から一転、最近は生きているのかどうかもわからないほど存在感が薄いIT担当大臣さんは、今は一体何をしてるんだ、などと八つ当たりしたくなる気持ちを抑え、指定された番号に電話した。

郵便局のオペレーターさんには翌日午後配送の希望を伝え、無事配達予約を完了。そして今日が配達日だ。

 

さて、この本人限定受取郵便、ご想像の通り、“置き配”はNGだ。何しろ受け渡しの際には、運転免許証などの本人を証明する書類の提示と共に、“印鑑”の押印が必須なのだ。この方式、今のご時世から考えると、一体どうなんだろうと思ってしまう。新政権発足後、“目に見える”成果はほとんどないが、その数少ないものの一つが “印鑑”の廃止だったのでは。郵便配達員さんも気の毒だ。新型コロナ感染のリスクを考えれば、本心は、できるだけ顧客との接触は避けたいだろうに、顧客にハンコを押してもらうには、顧客の“腕の長さ”以上のディスタンスを取ることは、物理的に不可能だ。

我が家に訪れた配達員さんは、そんなことはおくびにも出さず、元気な声で“ありがとうございまーす!”と、言っていたが、こちらとしては、(そんな大声出したら、飛沫が飛ぶ可能性も上がるから、もっと静かで大丈夫ですよ。なにしろ、こちらは呼吸器系疾患の既往があるジジイなんだから…。)と、内心ドキドキだ(因みに、その配達員さんがしていたマスクは、最近評判の悪いウレタン製だった)。

Z銀行から送られてきたのは、振込先の口座番号等を記載する用紙と返信用封筒。因みに返信は“普通郵便”です。これって、本当にセキュリティ的に大丈夫なのか?わざわざ顧客に電話させ、ソーシャルディスタンスが取れない“本人限定受取郵便”で用紙を送ってきた割には、最後の詰めが甘いのでは?これなら、ネット経由で口座番号を登録しても、情報漏洩リスクに大して違いはない、というか、ネット経由の方がよほど安全では、と感じるのは、私だけだろうか。

 

それにしても、“郵政民営化”とは何だったのだろうか?劇場化された選挙で “刺客”を送ってまで成し遂げた割には、今も郵便局はハンコ廃止の流れにも乗れないほど、旧態依然の体質で、その一方、“かんぽ”では、顧客を食い物にして、不正三昧。一体、何ための民営化だったのか。現環境大臣のお父さんも、当時と違い、随分角が取れたご様子なので、一度、お考えをお聞かせ頂きたいものです。