アラ還オヤジの備忘録

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帰国外国人の住民税未払い問題


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再就職しましたで書いた通り、この春までプー太郎だったわけだが、要はその間、収入がなかったということだ。そんな中で湧いた疑問が、「他の失業者は住民税の支払いはどうしているのだろう?」だ。

失業したことのない人の中には、もしかしたら「収入がないのなら、住民税の支払いもないだろう」と思われているかもしれないが、それは大いなる誤解である。一般サラリーマンは給与天引きなので実感がないかもしれないが、実は住民税というのは前年の1月から12月までの収入に応じて、その翌年6月に請求される。給与天引きであれば、6月以降の12ヶ月間、分割して支払うことになる。新卒で就職した一年目は住民税は天引きされていなかったのが、2年目からは天引きされるようになり、手取りが減ったという遠い昔の記憶が呼び起された。

そんなわけでプー太郎期間中も住民税は支払い続けたわけだが、2ヶ月前に再就職して、最初の給与明細を見ると、住民税の欄は“ゼロ”である。それはそうだろう。プー太郎中にも市から四半期分毎にしっかりと請求がきており、まじめに支払った一方、その期間は収入がなかったのだから、「前年の1月から12月までの収入に応じて、その翌年6月に請求される」という建て付けである以上、暫くの間は住民税は支払わなくてよいはずだ。

それにしても、収入ゼロの失業者からは住民税を取り立て、再就職したらその後しばらくは住民税の請求はなし、という仕組みはどうかと思う。失業期間中は住民税の請求は一旦停止し、再就職出来たら住民税の納付を再開するということにすれば、何の問題もないのではなかろうか。霞が関の優秀なお役人の皆さんには、「なんちゃら給付金」を乱発する暇があったら、こういう根本的な問題について、もっとしっかり考えてほしいものだ。因みに自分の場合はコロナで失業したが、全国民を対象に配布された一律10万円の「特別定額給付金」以外は、「なんちゃら給付金」は一円も頂戴できていない。何兆円もの国家予算が投入されているというが、一体どこに“流れて”いるのだろうか?

そんなことをつらつら考えながら、ふと思ったのは、「海外から日本に赴任していた外国人が帰国したら、 “前年の”住民税の支払いはどうなるのだろう?」ということだ。例えば、日本に三年ほど赴任していた外国人ビジネスマンがいるとして、最初の一年目は住民税の支払いはなし、二年目から住民税を支払い始めたとしても、帰国時には住民税の支払いが一年分残っているはずだ。帰国時に未払いの住民税もまとめて支払ってくれればよいが、「ウチに強くソトに弱い」日本の役所にそんなことができるのだろうか?

ちょっとググってみると、案の定、帰国外国人の住民税未払いが大きな問題になっているようだ。総務省発行の令和元年度個人住民税検討会報告書を見ると、その年4回開催された検討会のうち、前半二回は「グローバル社会における個人住民税のあり方」、後半二回は「個人住民税の現年課税化」について検討されている。「グローバル社会における個人住民税のあり方」の検討の中では、“在留外国人の個人住民税の徴収に係る市町村における課題”として、次の二点が問題点として挙げられている。

  1. 特別徴収されず普通徴収の者が多いなどの理由で、滞納が発生しやすいこと
  2. 出国(帰国)後、事実上徴収不可能になってしまう場合が多いこと

詳しい議論の内容は報告書を見てほしいのだが、「文化や言葉の壁、納税意識の違いなどにより、滞納処理が進まない」、「市町村が事前に出国を把握するすべがなく、外国人に対し直接納税を求めるタイミングがない」(資料3:「グローバル社会における個人住民税のあり方」から抜粋)等、ほとんど“泣き言”といえるような口実で、外国人からの住民税の徴収が進まないことを“正当化”しているようにも見える。失業者は言葉の壁もなく、出国もしないから、容赦なく取り立ててやれということか。

本資料の中では、「究極的な解決策としては、現年課税が考えられる」としていて、正にその通りと思うが、結論は「これは中長期的な検討を要する課題」で、真剣かつ迅速に取り組もうという姿勢は全く感じられない。現場が悲鳴を上げているなら、それを解決するようなエレガントな策を講じるのが中央官僚の仕事だろう。(“エレガント”な策とはどんなものかは、社長の仕事と“仕組みと仕掛け”(そして、コロナ対策の優先順位)で紹介した「ティッピング・ポイント」(原題:The Tipping Point、マルコム・グラッドウェル著)の中の、サンディエゴ黒人地区での乳がん啓発キャンペーンの事例を参照してほしい。)

以前、Go To Eatの“Why”は何か?で、農林水産省の官僚たちの態度と能力にモノ申したことがあった。5G対応ガラホはかなわぬ夢かでは、新型コロナウイルス接触確認アプリ”COCOA”を使うために、スマホ購入を検討していると書いたが、その後、COCOAポンコツぶり、というか厚生労働省の余りのいい加減さが白日の下に晒された(送別会でクラスター発生の件は、敢えてここでは触れまい)。そして、今度は総務省。全く、日本の官僚組織は機能しているのか、などと考えながら、今日の朝刊の書評欄を見ていて、目に留まったのが、「文部科学省」(青木栄一著)。

帯には「失敗はなぜ繰り返されるのか」の文字。今度は文部科学省ですか。中身を見て、「これは、根っこの部分は農水省厚労省総務省も同じだな」と感じるのは自分だけではあるまい。

昨今、コロナ対策における内外の格差を見て、「日本が今も一流国というのは全くの幻想」という証左を見せつけられることが多くなったように思う。その全責任を官僚達に負わせるつもりはないが、かといって全く関係ないということもなかろう。政治家に対しては民意を「選挙」という形で表明することが出来ても、官僚に対しては、国民はそのような術を持たない。だが、昨今の高級官僚の不祥事にかかる報道を見るにつけ、官僚に対しても何らかの手段を用意すべきなのでは、と感じる今日この頃だ。