アラ還オヤジの備忘録

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医療崩壊とアメーバ経営


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先週から始まったゴールデンウィークだが、コロナ禍ではどこかへ出かけることもできず、どうしても自宅でテレビを見る時間が長くなる。昨日見たのはNHKスペシャル「看護師たちの限界線〜密着 新型コロナ集中治療室〜」。先月17日放映されたものの再放送らしい。タイトルからして、どのような内容かは容易に想像できると思うが、最近の感染者数急上昇と、それに伴う医療提供体制の急激な悪化が耳目を集める今、タイムリーな再放送と思う。

それにしても、このゴールデンウィーク中、不要不急の外出は控えて、と言われているのにもかかわらず、「強制されていないから」とか「マスクをしているから大丈夫」とか言っている連中には、この番組を“強制” 的に見させるべきではないか、と思う内容だった。本当に現場の医療提供者の奮闘ぶりには頭が下がるというより他にない。

その一方で、番組のなかで登場する看護師さんが「ボーナスが半分になった」と嘆くシーンには心が痛んだ。本当に、どうにかならないものか。

聞けば、コロナ禍で来院する患者数が減少、病院の収入が減り経営が悪化した結果、看護師さんたちへのボーナスも減ってしまったらしい。そもそも医療の世界にどの程度“経営”が入り込むべきか、素人の自分には語るべくもないが、仮に“経営”視点が医療にも必須のものであるなら、この際、徹底的に“経営”に取り組んでみてはどうだろうか。

経営手法にもいろいろあるが、まず最初に導入をお勧めするのは、稲森和夫の「アメーバ経営」だ。

番組では、ICU(集中治療室)担当の看護師たちは、一度ICUに入ったら5時間出られないこともあるという。そのため、中にはおむつを付けている看護師さんもいるそうだ。さらに感染防止のための装備をつけての業務には負担も大きい。頭から顔全体を覆うようにしてつけているマスクも、重さが1kgを超えるそうだ。資格を持った専門職である看護師が、そのような過酷な労働条件のもとで長時間の業務を強いられているのだ。診療報酬点数の建てつけが間違っていなければ、「アメーバ経営」の観点を取り入れれば、ICUが上げている“収益”は、他の診療科のそれに比べて非常に大きいことが明らかになるに違いない(なにしろ病院全体としては患者数が減少しているのだ)。ICUで上げられた利益は、ICUで働く医療従事者に還元すべきで、病院全体の利益に“埋没”させるべきではない。それが「アメーバ経営」だ。この際だから、稲盛氏に病院経営改革を依頼してみては、とすら思う。何しろ、あの瀕死状態だったJALも、彼の手腕とアメーバ経営によって再生したのだから。

因みに以上の話は、あくまで「診療報酬点数の建てつけが間違っていない」のが前提だ。もし、この前提が成り立たない状況であるなら、直ちに診療報酬を改定すべきだろう。診療報酬改定というと、薬価切り下げばかりという印象もあるが、ここは、心を入れ替えたに違いない“クラスタ厚労省官僚”の皆さんに、是非ともICUで働く医療従事者と、ひいては国民のために汗をかいてもらいたいところだ。