アラ還オヤジの備忘録

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総裁選に思う─政治家はなぜ同じ過ちを繰り返すのか?


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ここ数日、新聞の朝刊を開いても、テレビのニュース番組や報道番組を見ていても、どこもかしこも総裁選一色だ。四人の候補がニュースキャスターから、あれやこれや聞かれて、それに対して順番に応えていくスタイルも、もはや“見飽きた”感がある。

ニュース番組ごとに、何か特色を出そうと努力はしているのだろうが、結局は似たり寄ったりの内容だ。一方、答える方の候補四人も、得意の分野では立て板に水のごとくすらすらと持論を述べる一方、肝心なことを聞かれたとたん、ポケトークでも到底翻訳不能な、日本人でも結局何を言っているのかわからないような返事を繰り出し、聞く人を煙に巻いている。

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まあ、“聞く人を煙に巻く”答弁は、前首相~元首相からの、かの党の“伝統”のようなものなので、四人のうち、誰が総裁になろうとも、その伝統は引き継がれるということなのだろう。

それにしても可笑しく思うのは、四人とも、政府与党のなかではそこそこの地位にいる(そうでなければ総裁候補にはなれないだろう)にもかかわらず、「自分が総裁になったらこんなことをします」と、聞く方が驚くほど多彩な持論を展開することだ。そんなにいろいろアイデアがあるのなら、総裁になろうとならなかろうと、とっとと行動に移しなさい、と思うのは自分だけだろうか。中には「総裁になったら法案を提出します」などとほざく頭のねじが飛んだ候補もいる始末。総裁にならなくとも、法案の提出は国会議員のお仕事の一部、というかそれが最大・最重要の仕事だろう。参議院キッズページにも、「議員はどんなお仕事をしているのかな?」の質問に、「①法律案を国会に提出する」とある。

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①ですよ、一番目です。総裁候補になる前に、何にために議員になったのか、良い子たちと一緒にもう一度しっかり勉強し直してほしいものだ。

森友、原発関係に関する候補たちの回答もなかなか興味深い。森友については、企業の社長が会社のカネを私的に流用すれば、その社長がどんなに業績を上げていようと背任の罪を問われるのは当たり前のことだ。であれば、首相が国のカネを自分のお友達のために使ったら(仮に経済の面で成果を上げていたとしても)、罪を問われるのは当たり前のことだろう。

原発についても、2011年に一体何が起こって、そのあと今に至るまでどれほどの困難が続いているのかをしっかり考えれば、スパッと判断できそうなものを、どういうわけか、どの候補も歯切れの悪さは似たり寄ったりだ。

こんなことを書くと、「世の中はそんなにきれいごとだけで済まされるものではない」という方々もおられよう。かく言う自分も、まがいなりにも社員数100人を超える会社の社長を仰せつかったことがある身だ。レベルの違いはあるが「きれいごとでは済まない」ことはいくらでも経験してきた。しかし、その一方で、「きれいごとでは済まない」という理由で、間違った判断をした場合の結末も目にしてきた。そんなことを思い出しながら、本棚から引っ張り出してきたのは、パトリック・レンシオーニの「意思決定 5つの誘惑」(原題:The Five Temptations of a CEO)だ。

帯には「経営者はなぜ同じ過ちを繰り返すのか?」の文字。

表紙カバーの裏には「リーダーの意思決定を阻む5つの誘惑とは─」として、

  1. 地位が一番大事だ
  2. 部下に嫌われたくない
  3. 判断ミスは許されない
  4. 対立は避けたい
  5. 弱みを見せてはいけない

とある。これをご覧になって、皆さんはどうお感じだろうか。1や2は、まあ、そんな“誘惑”もあるよな、と思われる方も、3については「一体それの何が“誘惑”なのか。当たり前のことだろう。」と感じられたのではなかろうか。4についても、CEOに限らず誰しもできれば対立は避けたいものだ。5に至っては、会社のトップであれば、そうなるのも仕方なかろう…。

かく言う自分も、本書を手に取っての第一印象は「そうは言っても…」だったが、中身を読んで「そういうことか。確かにそうだな。」と感じたのだった。

4人の総裁候補の話しぶりを見るにつけ、皆、この5つの誘惑にどっぷり漬かっているように見える。

候補者の皆さん、悪いことは言わないので、本書をご一読されては如何でしょう。本文中には「長期的成長のモデル」というのも紹介されていて、お薦めですよ。