アラ還オヤジの備忘録

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スマート・ヤンキー・トリック


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昨日の朝刊の書評欄。目に止まったのは「自発的隷従の日米関係史」。

その書評の中で「スマート・ヤンキー・トリック」なる言葉が紹介されている。書評の内容をそのまま引用すれば「相手国から懇願されるという形で、欲しいものを手に入れる手法」とのこと。
不勉強な私は、これまでに聞いたことのない言葉だったので、早速いつもの如くググってみたのだが、残念ながらこの書評以外にこの言葉を使っている事例を見つけ出すことが出来なかった。
さて、“国”を相手に交渉することなど想像もできない自分だが、「"相手"から懇願されるという形で、欲しいものを手に入れる」というのであれば、ビジネスの世界では割とありがちなように思う。“懇願される”というのは言い過ぎとしても、「相手があたかも自分の意思で決めたように感じるよう、こちらが望んでいた選択肢を相手に選択させる」というのは、ヤンキーでなくても“スマート”なビジネスの進め方として、認知されているのではないか。
かく言う自分も、ステークホルダーたち(社内外を問わず)との交渉では、そのように物事を進めるよう心がけてきた。複数のオプション(選択肢)を相手に提示し、その中からこちらが望むものを相手が選ぶよう誘導するのだが、その際、「こちらが勧めた」選択肢でなく、「相手が何を選択するか自分で決めた」、さらに言えば「その選択肢自体、相手から提示されたものでなく、自分が考えついた」と感じるように話を進めるのは、ビジネスにおける鉄則ではないかと思う。
(本当にそんなことができるのか)と思われる方もいるかもしれないが、意外と自分では気づかずにそのように話を勧めているケースもあるように思う。ただ、それが無意識か、それとも意識して行っているのかでは、成功率にも大きな差があるのではないか。
一方で、この「スマート・ヤンキー・トリック」的なアプローチが全く効果がない相手というのもいる。それは、“望むものがない”相手、あるいは“生産的なアプローチを度外視して、揚げ足を取りたいだけ”という相手だ。(そんなやつがいるのか)と思われるかもしれないが、海外のビジネスマンはまだしも、日本企業、或いは外資でも日本支社にいる日本人の中には、未だに結構な数、この手の輩が蔓延っていると感じるのは自分だけだろうか。
では、そういう相手には、どう接すればよいのか。生産性がないのだから、極力相手にしない。どうしても相手をしなければならないのであれば、その時間は最小限に。話をしている最中は“これは修行だ”と割り切って、やり過ごす。そんな相手に腹を立てたり、或いはいつかやり返してやる、などと思うのは、それこそエネルギーの無駄というものだ。
話は変わるが、IMD (国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が作成する「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」をご存知だろうか。2022年版が6月14日に公表されているが、その中で、日本の順位は34位。因みに32位はマレーシア、33位はタイだ。日本は1989年からバブル後の1992年まで1位、1996年までは5位以内を維持していたのに、今はこの体たらく。いろいろな原因が言われているが、根っこのところは、揚げ足取りしか能のないマネジメント層を未だに温存している企業文化にあるのでは、と思うのは、ちょっと穿ち過ぎだろうか。