久しぶりの海外出張(帰国~自宅までの移動編)で帰りの電車の中で見かけた外国人観光客の様子を見て、「『JRの駅員が乗客に何か尋ねられたとき、早く自分の前から乗客を“去らせたい”ために、いい加減なことを言って説明責任を放棄する』というのを、つい最近自分自身が体験したからだった」と書いた。
今日はその話を書こうと思う。
成田エクスプレスがマイブームで書いた通り、最近はオフィス出社した時の帰りに成田エクスプレスにお世話になることが多い。
その日(6月27日)も午後7時3分東京発の成田エクスプレスをスマホで予約していた。
ホームまで降りると何となくいつもと違う様子。電車はすでに入線していたので乗車して自分の席に座ると車内放送が耳に入った。何と、津田沼駅で人身事故があり、発車の目処が立たないというではないか。周りを見渡すと、乗客の多くは旅行客と思しき外国人。成田エクスプレスに乗車しているということは、その後のフライトの時間もあるだろう。「発車の目処が立たない」と聞かされて、車内が騒然となってもおかしくないところだが、意外と静か。むしろあっけに取られてどうしていいかわからず立ちすくむ、といった状態か。
車内アナウンスは、「空港に急ぐのであれば、他の路線へ乗り換えろ」と繰り返すばかり。因みに“他の路線”といえば京成しかなく、アナウンスも「京成に乗り換えろ」と言っている風。しかし、アナウンスの英語の発音が良すぎて、何度聞いても「カイセイライン」としか聞こえない。これでは、仮に外国人乗客が京成に乗り換えることを決断して、回りの日本人に「カイセイライン」への乗換方法を聞いても、尋ねられた日本人は何のことかわからない。録音したものを繰り返し流しているだけなので、すぐにでも録音し直すべきだろう。
さて、そんなわけで、自分も次のフライトがあるわけではないが、自宅には早く帰りたい。「目処が立たない」のであれば、京成への乗り換えも考えるしかないか、などと思う一方、(あれだけ「京成への乗り換え」を押してくるなら、特急券の払い戻しもしてくれるか。でも、確かJRは2時間以上遅延した場合以外は、払い戻しはしないのでは)などとも考え始める。因みに車内アナウンスは、京成への乗り換えを押してくる英語のアナウンスが繰り返し流されるばかり。払い戻しも含め、乗客がもっと知りたいだろう情報は一切流れてこない。じっと席に座っていても時間が過ぎるばかり、一旦ホームに降りて、駅係員に払い戻しについて聞いてみることに。
ホームに出てみると、駅係員の数はまばら。ふと、ホームにある駅係員の詰め所のほうを見ると、数人の駅係員がそそくさと中に入って行くのが見える。こういうときに対応するために、君等に給料が払われているのだろう、やってることが逆じゃないか、などと思いつつホームに出ている係員を探す。ようやく一人の男性係員を見つけたが、彼の前にはすでに“先客”が数人並んでいて、あれやこれや尋ねている。ようやく自分の番になり、「社内アナウンスで京成に乗り換えるように言っているが、特急券の払い戻しはしてもらえるのか」と聞くと、思いもよらず「払い戻しします」ときっぱり。意外な答えだったので、「どうしたら払い戻ししてもらえるのか」と尋ねると「払い戻し方法については改札で確認して下さい」との答え。おいおい、ここは地下5階の総武快速のホーム。改札は地上階か、地下一階。年寄りにそこまで行って自分で確認しろと言うか。そもそも、ここで払い戻せと言っているわけでもない、方法を教えてほしいと言っているだけだ。それが、なんでわざわざ改札まで行く必要があるのか。こいつはちょっと怪しいな、と思って、さらに質問してみる。「チケットはえきねっとで購入したのだが、それでも改札でないとだめなのか」。これを聞いて、この男性職員の返事は「えきねっとのことはここでは分かりかねるので、自分でえきねっとに確認して下さい」、さらに「えきねっとで切符を購入したとき、メールが来たでしょう、それに連絡先の電話番号が記載されている」、そしてご丁寧にも「スマホを貸してもらっていいですか、電話番号が出ている場所を教えます」と宣った。
あのねぇ、えきねっとから来たメールに電話番号が載っていることぐらい、駅職員でなくても、みんな知ってますよ。そもそもその番号、こんな“非常時”に使うことを前提に記載されているわけではないだろう。
件の駅職員、私のスマホを手に取り、「ほら、ここに電話番号が」と言うが早いか、そそくさとその場を立ち去って行った。
(全く、クソの役にもたたん..)などと思いつつも、このままではどうにもならない。ここまで来たら言われた通り電話してみるかと、えきねっとからのメールに記載された電話番号に電話してみることに。因みにこの番号、フリーダイヤルではありません。povoを使っている自分は30秒ごとに22円の課金となる。電話がつながると、まずは“サービス向上のために録音云々”というメッセージが長々と流される。この時間も課金対象。そして、最後に出てきたのは何と、「この電話番号ではなく、こちらにかけ直せ」とのメッセージ。おいおい、違う番号にかけ直せ、というなら、録音云々のメッセージは一体何のため?さらにメッセージの中で、その「違う番号」が読み上げられるのは一回のみ。電車が止まって乗客でごった返している駅ホームからかけている状態で、メモなど取ることも出来ない。そんな中で、突然「番号はこちら」と言われてそれを即座に暗記できるほどの“お利口さん”がどれだけいるのか。結局、その番号を控えるために3回電話をかけ直す。その度ごとに“サービス向上のために録音云々”のメッセージを聞かされ、その時間も全て課金されることに。さらに、ようやく控えた番号に電話をかけてみると、まずは、“サービス向上のために録音云々”が流されるのは同じ、そして最後に出てきたのは、「大変混み合っているので、しばらく経ってからおかけ直し下さい」のメッセージだったのだ。おいJR、お前ら、客を舐めるのも大概にしろよ!、そう毒づきたくもなるのだった。どう考えても、わざと顧客に面倒と負担をかけるような仕組みにして、自分たちの”面倒”を減らそうとしているのは明らかだ。因みに、この間およそ30分、povoの通話料の請求はおよそ400円だ。
ここまで来て、自分的には完全にガソリン切れ、京成に乗り換える気力も残っておらず、運転再開まで電車の中で大人しく待つことにする。腹が減っていると余計に腹が立つので、ホームの売店でおにぎりと缶ビールを購入、席で腹ごしらえして人心地つく。そうこうするうちに運転再開についての社内放送が流れ始める。因みにこちらは日本語のみで英語は一切なし。この状態で、外国人の乗客たちは、よく”暴動”も起こさず我慢しているな、などと思ったりする。そうして列車は1時間以上遅れたものの、2時間にはならないというJRお得意のパターンで東京駅を発車したのだった。
さて、ここからは後日談。まず、自分が今回経験したような状態で払い戻しができるのかというと、それはアウト。そもそもどれくらい遅延するかわからない状態で、どういう取り扱いなるのか、判断できるわけもない。ホームの駅職員の「払い戻しできる」という説明はその場のでまかせ、真っ赤な嘘だ。さらにえきねっとについて。自分が払い戻しを考え始めたのは、すでに定刻の発車時間の午後7時3分を過ぎていた。この場合、自分が操作した範囲内で、スマホから何らかの対応をすることは出来なかった。えきねっとのwebsiteを調べてみると、次のような記載がある。
えきねっとから予約内容を変更できる場合:お客さまご自身で新たにご乗車する列車に変更してください。
えきねっとから予約内容を変更できない場合:駅係員にお申し出ください。
というわけで、駅係員が対応すると書いてある。まさかその対応というのが「客のスマホでえきねっとからのメールを確認して、その番号に電話するよう仕向ける」ではなかろう。
JR駅係員さん、あなた達もボランティア活動でホームに立っているわけではないでしょう。ちゃんと給料をもらって、しかもその給料は顧客が払っている運賃から出ていることを少しでも思ったら、もう少し、まじめにやろうという気になりませんか?
こんなわけで、冒頭に紹介した、海外出張帰りに見かけた外国人旅行客には、同情を禁じえないのだった。