アラ還オヤジの備忘録

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「21世紀の戦争」を読み返す


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この年末年始は、いつにもまして時間があった。“第八波”が猛威を振るい、感染による死者数は過去最高、しかもそのほとんどが高齢者という報道を聞き、とてもじゃないが用もないのに外出しようという気が起きるわけもない。
一方、テレビのスイッチを入れれば、ニュースではどこもかしこも“3年ぶりの行動制限のない年末年始”というおそろいのキャッチフレーズと共に、人出でごった返している観光地やら、初詣客で溢れかえった寺社仏閣を中継している。
これほどの死者が出ているのであれば、医療機関のひっ迫度も大変なことになっていると想像するが、テレビのニュースも以前に比べると医療機関の様子に触れる回数が随分と少ない気がする。では国はどうかと言えば、「死んでいるのは年寄りばかりだから、問題ない」と思っているのか、いないのか、何か対策を打つどころか、何事もなかったように旅行支援を続けている。「年寄りの数が少なくなれば年金財政の逼迫度も少しは改善するだろう」とでも思っているのでは、などと穿った考えも頭に浮かぶが、兎に角、今は自分の命は自分で守るしかないと腹をくくって、“巣ごもり”を決め込んだ。
そんなわけで持て余す時間を潰すのに何をしたかと言うと、本棚から以前読んだ本を取り出して再読することだった。隠れトランプとアメリカ人上司で登場頂いた師匠も「本は3回読まないと理解できたことにならない」と仰せだったことを思い出し、これは、というものを引っ張り出して読んでみたのだが、

sugo-mane.hatenablog.com

その中で刺さったのは「21世紀の戦争」(ジェイムズ・アダムス著、日本経済新聞社)。

初版の発行は1999年8月だが、翻訳前の原著の出版は前年の1998年。今からおよそ25年前だ。そんな“昔”に書かれた本を、何故今さら選んだのかと問われれば、帯に書かれた「“血の流れない戦争”は到来するか」の文字が引っ掛かったから。21世紀になって二十有余年、リアルに“血の流れる戦争”を目の当たりにして、25年前にどんなことが考えられていたのか、読まずにいられなかったのだ。
本書は三部構成で、第一部と二部の内容はといえば、ややSFチック。“21世紀に実用化されるであろう”兵器がいろいろ出てくる。随分と“前のめり”と思われるものもあれば、ほぼほぼ言い当てていると思われるものもある。“ドローン”も、言葉こそ出てこないが、UAV(無人航空機)についての記載に、これはドローンだな、と思われるものがある。
そして第3部は主に“情報戦争”について。こちらの内容は妙にリアルで、最近書かれたと言われても余り違和感がない(もちろん引用されている出来事は1998年より前のことだが)。日本の国会議員の皆さんもこの本に書かれているようなことは当然“折り込み済み”で防衛費の問題も議論していると願いたい。
おもいしろいな、と思ったのは、“リフレクシブ・コントロール”について記載。リフレクシブ・コントロールとは「敵が論理的に到達する結論がもともとこちら側で決めていた方向に合致するようにさせるプロセス」というのだが、これを見て、(なんか、以前聞いたことがあるような…)と思い出したのは、「自発的隷従の日米関係史」(松田武著、岩波書店)の中で紹介されていた“スマート・ヤンキー・トリック”だ。

sugo-mane.hatenablog.com

こちらは「相手国から懇願されるという形で、欲しいものを手に入れる手法」と紹介されていたのだが、“リフレクシブ・コントロール”とコンセプトがほとんど同じような。因みに「21世紀の戦争」の中で、著者は“リフレクシブ・コントロール”について“ロシアがアメリカに対する情報優位の手段として完成させた”と記載している。
ヤンキーとロシアの一体どちらが本家かはわからないが、その狭間で日本が翻弄されてやしないのか、気になるところだ。