アラ還オヤジの備忘録

雑感や、その他諸々。

総裁選に思う─政治家はなぜ同じ過ちを繰り返すのか?

ここ数日、新聞の朝刊を開いても、テレビのニュース番組や報道番組を見ていても、どこもかしこも総裁選一色だ。四人の候補がニュースキャスターから、あれやこれや聞かれて、それに対して順番に応えていくスタイルも、もはや“見飽きた”感がある。

ニュース番組ごとに、何か特色を出そうと努力はしているのだろうが、結局は似たり寄ったりの内容だ。一方、答える方の候補四人も、得意の分野では立て板に水のごとくすらすらと持論を述べる一方、肝心なことを聞かれたとたん、ポケトークでも到底翻訳不能な、日本人でも結局何を言っているのかわからないような返事を繰り出し、聞く人を煙に巻いている。

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まあ、“聞く人を煙に巻く”答弁は、前首相~元首相からの、かの党の“伝統”のようなものなので、四人のうち、誰が総裁になろうとも、その伝統は引き継がれるということなのだろう。

それにしても可笑しく思うのは、四人とも、政府与党のなかではそこそこの地位にいる(そうでなければ総裁候補にはなれないだろう)にもかかわらず、「自分が総裁になったらこんなことをします」と、聞く方が驚くほど多彩な持論を展開することだ。そんなにいろいろアイデアがあるのなら、総裁になろうとならなかろうと、とっとと行動に移しなさい、と思うのは自分だけだろうか。中には「総裁になったら法案を提出します」などとほざく頭のねじが飛んだ候補もいる始末。総裁にならなくとも、法案の提出は国会議員のお仕事の一部、というかそれが最大・最重要の仕事だろう。参議院キッズページにも、「議員はどんなお仕事をしているのかな?」の質問に、「①法律案を国会に提出する」とある。

www.sangiin.go.jp

①ですよ、一番目です。総裁候補になる前に、何にために議員になったのか、良い子たちと一緒にもう一度しっかり勉強し直してほしいものだ。

森友、原発関係に関する候補たちの回答もなかなか興味深い。森友については、企業の社長が会社のカネを私的に流用すれば、その社長がどんなに業績を上げていようと背任の罪を問われるのは当たり前のことだ。であれば、首相が国のカネを自分のお友達のために使ったら(仮に経済の面で成果を上げていたとしても)、罪を問われるのは当たり前のことだろう。

原発についても、2011年に一体何が起こって、そのあと今に至るまでどれほどの困難が続いているのかをしっかり考えれば、スパッと判断できそうなものを、どういうわけか、どの候補も歯切れの悪さは似たり寄ったりだ。

こんなことを書くと、「世の中はそんなにきれいごとだけで済まされるものではない」という方々もおられよう。かく言う自分も、まがいなりにも社員数100人を超える会社の社長を仰せつかったことがある身だ。レベルの違いはあるが「きれいごとでは済まない」ことはいくらでも経験してきた。しかし、その一方で、「きれいごとでは済まない」という理由で、間違った判断をした場合の結末も目にしてきた。そんなことを思い出しながら、本棚から引っ張り出してきたのは、パトリック・レンシオーニの「意思決定 5つの誘惑」(原題:The Five Temptations of a CEO)だ。

帯には「経営者はなぜ同じ過ちを繰り返すのか?」の文字。

表紙カバーの裏には「リーダーの意思決定を阻む5つの誘惑とは─」として、

  1. 地位が一番大事だ
  2. 部下に嫌われたくない
  3. 判断ミスは許されない
  4. 対立は避けたい
  5. 弱みを見せてはいけない

とある。これをご覧になって、皆さんはどうお感じだろうか。1や2は、まあ、そんな“誘惑”もあるよな、と思われる方も、3については「一体それの何が“誘惑”なのか。当たり前のことだろう。」と感じられたのではなかろうか。4についても、CEOに限らず誰しもできれば対立は避けたいものだ。5に至っては、会社のトップであれば、そうなるのも仕方なかろう…。

かく言う自分も、本書を手に取っての第一印象は「そうは言っても…」だったが、中身を読んで「そういうことか。確かにそうだな。」と感じたのだった。

4人の総裁候補の話しぶりを見るにつけ、皆、この5つの誘惑にどっぷり漬かっているように見える。

候補者の皆さん、悪いことは言わないので、本書をご一読されては如何でしょう。本文中には「長期的成長のモデル」というのも紹介されていて、お薦めですよ。

ホッピーと20年

夏にすき焼で、「8月はどういう巡りあわせか、株主優待の品物が届く数が多い月だ。」と書いた。

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先月、すき焼用の肉以外に届いたもので、特に気に入ったのは善光寺浪漫ブランドの缶ビール。

製造元は麗人酒造株式会社という名の蔵元だが、この会社の株を持っているわけでもない。実はオリックス株主優待だ。オリックス株主優待システムは、ちょっと変わっている。“ふるさと優待”という名前のカタログの中から自分の好みの優待を、第2希望まで選び、第1希望と第2希望のどちらの品物が当たったのかは、届くまでのお楽しみだ。オリックスの株主になってから数年経ち、すでに何度か株主優待の品物を受け取ったが、第2希望の品物が届いたことはこれまでなかったから、よほどの人気商品でない限り、第1希望が届くということなのだろう。カタログの中には、毎年、何種類かのビールが含まれていて、確か昨年は川場ビールを選択したと記憶している。

こちらも大変美味しく頂いた。その前の年も確かビール、というか、オリックス株主優待でビール以外のものをオーダーしたことはこれまでないと思う。

そんなわけで既にお気づきの通り無類のビール好きである私だが、実は普段の晩酌でビールを飲むことは基本的にない。20年ほど前から晩酌はホッピーと決めているのだ。それはなぜか。もちろんホッピーがうまい、ということは間違いない。しかし、それ以前は晩酌にビールは欠かせなかった。そんなビールに別れを告げたのは、他でもない。“尿酸値”問題である。20年前といえば、まだ40歳前後、現役バリバリの年代である。晩酌どころか、大体仕事帰りは外で飲み歩いていることが多かった。飲み屋についたら、“とりあえずビール”。ジョッキ1杯で終わるわけもなく、2杯、3杯は当たり前だった。そんな生活を続けていたら、尿酸値が上がるのも当たり前だ。ある年の健康診断で、突如尿酸値がレッドゾーンを大きく突破した。ビールと尿酸値の関係は、以前から薄々聞いていたが、自分がそうなるとは夢にも思っていなかった。できれば何か他の理由をこじつけたいところだったが、やはり “主犯格”はビールと言わざるを得なかった。そんなわけで、泣く泣く禁酒ならぬ禁ビールをすることにしたのだ。と言っても往生際が悪いというかなんというか、この時作ったマイルールは次のようなものだ。

晩酌でビールは飲まない。だたし、

  • 外食の時は許す
  • お中元・お歳暮等で貰ったビールは例外

全く、“なんのこっちゃ”というか、ええ加減にせい、言いたいマイルールである。

さて、そんなわけで、晩酌でビールに変わる“何か”を探し始めたのだが、ほどなく“よさげ”なものに辿りつく。それがホッピーとの出会いだ。試しに飲んでみると、これが思いのほかうまい。早速ケース買いして、その後これまで20年、ほぼ毎晩ホッピーのお世話になっている。

最初の頃は、専ら楽天に出店している秀和飲料さんから購入していた。

item.rakuten.co.jp

当時は“国道16号の内側は配送料無料”という、随分とざっくりしたルールがあって、ぎりぎり16号の内側に自宅があったこともあり、無料で配送してもらっていた。注文時には、“木のおもちゃ”か“ライター”のどちらかのおまけを選択できた。最初の頃はライターをお願いすることもあったが、ライターばかり溜まっても仕方ないので、木のおもちゃをお願いすることが多かった。何しろ毎晩、晩酌で大抵2杯は飲んでいる(ホッピー専用ジョッキも購入し、冷凍庫にはいつもキンキンに冷えたジョッキが2個入っていた)のだから、木のおもちゃもどんどん貯まっていき、いつのまにか菓子箱一杯分ほどになった。また、年の初めに注文すると、段ボールの中にその年の根付が入っていて、カミさんに好評だった。夏には団扇が入っていることも多く、今でもその多くが現役で活躍している。自慢じゃないが、“ホッピーTシャツ”も持ってます。

しかし、その後は楽天の送料のルールが変わり、2ケース頼むと送料だけで1,700円を超えるようになり、また、近所のスーパーでも、結構な安値でケースで注文できるようになったりしたこともあって、いつの間にかネット買いすることはなくなっていった。余談だが、件のスーパーの飲料担当者とはほどなく顔見知りになった。それはそうだろう、ほぼ毎月のペースでホッピーを2ケースずつ買っていく客などそうはいまい。ある時、「ご商売をやられているんですか?」と尋ねられた。「いえ、自宅用です」と答えると、「それはすごいですねぇ…」と呆れられたものだ。

そんな中での、このコロナ禍だ。さすがにホッピーを購入するためだけに外出するのも憚られ(これを“不要不急ではない”といったら、さすがにまずかろう)、ネット買いに“復帰”したのだが、最近はもっぱらAmazonで購入している。

そんなわけで、これまでほぼ20年、毎日ホッピーを飲み続けてきた結果、お陰様で尿酸値もそこそこ安定している。マイルールにある通り、「貰ったビールは例外」ということで、株主優待のビールも楽しんでいるが、さすがにそれくらいでは数値には響かないようだ。これからもホッピーにはお世話なり続けることになりそうだ。

首相辞任とピーターの法則

この週末の話題は何と言っても首相の総裁選不出馬~辞任だろう。今日が閉会式となったパラリンピックのニュースも霞むほどだ。

それにしても、政府与党が首相を交代させると判断するのに、どうしてこれほどの時間が必要だったのか。

ロックダウンと「リーダーシップ」で、「もし政府与党に自浄作用があるのであれば、直ちにトップを変える手立てを考えるべきではないか。」と書いたのは昨年12月のこと。

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普通に“人を見る目”があれば、現首相が“器”でないことは、その頃にはすでに明らかだったはずだ。こんなことを書くと、「お前は野党支持者で、初めから色眼鏡で見ていたのだろう。」というかたもおられようが、9月に合流新党と原子力研究で「決められた手順に則った民主的な方法で選出された日本の新しいトップに対して、国内はもとより、外交においても活躍してほしいと期待するのは、日本人として当然のことだろう。」と書いた通り、自分も現首相に対しては、それなりに期待をしていた国民の一人だったのだ。

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それにしても、あの官房長官時代の「切れ者」然とした存在感は一体何だったのか。会社の同僚の一人は「官房長官時代の首相は、実は結構好きだった。」と言っていた。私も、「好き」というのとは違うが、マスコミを手玉に取って、物事をとっとと前に進めている様子を見て、なかなかのやり手だな、などと思っていたのだ。

そんな彼を見ていて思い出すのは、アンディ・グローブ著「HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント)」の中の一節だ。

優れた仕事をした人は昇進させられるが・・・・・・・彼は無能なレベルに達するまで昇進し続け、そのレベルにとどまる。

われわれは「無能」のレベルに達するまで昇進を続けさせる以外に実は方法がないのである。

アンディ・グローブは経営者(インテルの元CEOだ)であって、政治家ではない。彼のこの言葉は企業における報酬体系について述べている件(くだり)からの引用だ。このような考え方を、彼は「ピーターの法則」として紹介している。

官房長官として有能だった彼が、首相に“昇進”した結果、「ピーターの法則」によって無能になってしまったとしたら、そのような「人事」は国としては悲劇というほかない。未知のウイルス感染症パンデミック下においてはなおさらだ。そんな“悲劇”をほぼ一年間放置していた政府与党への国民の信頼は完全に地に落ちているのは、首相の支持率から見ても明らかだ。総裁選で“次”が誰になろうと、“どうせ同じ穴の狢(むじな)”と思っているのは私だけではあるまい。

話は若干ずれるが、ピーターの法則といえば、ズバリ、書名が「ピーターの法則」という書籍がある。

こちらの本は、最近ネットでやらかしてしまった自称メンタリスト(“メンタリスト”ってなんだ?)”が紹介していたとのことで、そこそこ売れているらしいが、「ピーターの法則」そのものを詳しく知りたいというのであれば、こちらを紐解くのもアリだろう。ただ、自分としては、法則そのものに深い興味はないので、アンディ・グローブの著書で十分だ。

さて、話を戻そう。昇進の結果、部下が無能になってしまった時、マネージャーはどうするべきなのか。アンディ・グローブの回答はシンプルだ。

解決方法は“リサイクル”することである。昇進させられる前によくできた仕事にもどせばよい。

しかし、こうも言っている。

普通、もう一度後退して昔の仕事をするように勧められることはなく、会社を辞めざるを得なくなる。「辞めさせたほうが本人のためになる」という表現で、それは正当化される。

彼を昇進させた“マネージャー”が幹事長かどうかは知らないが、この先どのような「人事」が行われるか、“もう一度後退して昔の仕事をする”イコール官房長官に戻る、などということが起きれば、それはそれでかなりのインパクトがありそうだ。「そんな馬鹿な」と思われかたがほとんどだと思うが、明日がどうなるかわからないのが政治の世界、暫くは“take a close look”でいようと思う。

夏にすき焼

素人投資家が憂う日銀のETF購入で、「NISAが始まって以降、年間枠の範囲内で手持ちの株を増やしてきた」と書いた。

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8月はどういう巡りあわせか、株主優待の品物が届く数が多い月だ。

そんな中、スターゼンからはすき焼用牛肉300gが届いた。夏に“すき焼”ですか…。カミさんが言うには“きれいな肉”とのことで、300gもあれば、アラ還夫婦には十分な量だが、さすがにこの暑いのにすき焼というわけにはいかず、適当に煮たり焼いたりして美味しく頂いた。

 “夏にすき焼”で真っ先に思い出すのは「異人たちとの夏」だ。

余りに有名な映画なので、ここで内容をとやかく説明したりはしないが、もし万が一まだ観ていないというかたがいたら、悪いことは言わないのですぐ見てほしい。季節的にも、今の時期に見るのがお薦めだ。なぜ、“夏にすき焼”なのか、こうしてテキストを打っているうちにも目頭が熱くなってくる。公開されたのは1988年というから、およそ30年前のことだ。初めてこの映画を観たときは、“風間杜夫”目線だった自分も、この歳になるとどうしても“片岡鶴太郎”目線になってくる。それにしても秋吉久美子は色っぽかったなぁ…。

映画の中で出てきたすき焼屋だが、浅草の今半別館とのことだ。有名なすき焼店で、接待などで使われたというかたも多かろう。自分も随分前にフランスからの客人を連れて行ったことがあった。外国人というと、生卵が苦手という印象があるが、件のフランス人はそんなそぶりは微塵も見せず、ビジネスの話もそこそこに、次から次へと牛肉を平らげていったのだった...。

今半別館は、店の“格”も味も文句なく一流だが、自分の好みは、どちらかというと湯島の江知勝(えちかつ)だった。今半別館とはまた違う風情がある店で、門をくぐってから店に入るまでのアプローチも情緒たっぷり、そのあと食す料理への期待も俄然高まっていった。そんな江知勝なのだが、何と昨年閉店してしまったそうな。コロナとは関係ないらしいのだが、何とも残念でならない。

こうして思うと、「コロナ禍がおさまったら、また行ってみたいな」などと考えているうちに、いつのまにか無くなってしまっている店が何と多いことか。政府は“ワクチン一本足打法”で、それ以外の施策はまるで頭にないようだが、海外から伝えられる情報には、「どれほどワクチン接種が進んでも集団免疫獲得は困難」というものもあり、出口戦略が見えない。いつになったら外でビールを飲みながらうまいすき焼が食えるようになるのか、「飲食店バッシング」しか取り柄のない政府与党に「ロードマップを見せろ」といったところで、どうせ碌な答えが出てこないのは、日頃の会見の様子からも明らかだ。立憲民主の国対委員長のいう通り、総裁選などは国民には何の関係もないので、とっとと解散総選挙してもらい、新しい政権に、早く“その後”を語ってほしいところだ。

デボネアとショスタコービッチ

以前、クラシックコンサートとSNSで新日本フィルハーモニーのツイッターアカウントをフォローしていると書いた。

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この週末は、今年7月3日に収録された井上道義氏指揮のショスタコービッチ作曲ジャズ組曲第2番の動画がYouTubeで公開されたことに関係する投稿が多い。

www.youtube.com

当日のコンサートでは、ジャズ組曲第2番の他、同じくショスタコービッチ作曲の交響曲第8番も演奏されたとのこと。

ショスタコービッチの「ジャズ組曲交響曲の組み合わせ」は井上氏の好みのようで、2019年の6月には、ジャズ組曲第1番と交響曲第5番というプログラムでのコンサートがあった。まだ、“コロナ前”のことで、自分もトリフォニーホールに足を運んだ。井上氏の“語り”の面白さは勿論だが、演奏自体も素晴らしかった。 (交響曲第5番第4楽章の解釈は、氏独特、と言ってもご本人は“自分が正統”と思われているのだが、それも含めて楽しめた。)

今となっては、“憎めない頑固ジジイ”的(?)キャラの井上氏だが、その昔は“イケメン若手指揮者”として売り出していたと記憶している。自動車のコマーシャルにも出ていたような。ちょっとYouTubeを調べてみるとありました。

www.youtube.com

わ、若い!まあ、今から35年ほど前の映像なのだから、それも当然か。それにしても、“デボネア”というのが渋すぎる、というか、クラウンでもセドリック・グロリアでもないというが、如何にも氏らしいというところか。

話が脱線したが、自分もショスタコービッチは好きな作曲家の一人だ。一人で高速を運転するときには、大音量で交響曲第4番辺りをかけていたりする。

その一方、ショスタコービッチ交響曲は“聞くのに体力がいる”と感じるのも事実で、だったら何を聞くかというと、「24のプレリュードとフーガ」あたりがお気に入りだ。自分が持っているCDはキースジャレット演奏によるもの。

キースジャレットと言えば、言わずと知れたジャズピアニストだが、この曲の演奏の中では、“ジャズの片鱗”は敢えて全く見せていない。そういう意味では安心して聞くことができる。Amazonのレビューを見ても“絶賛”レベルが多いのに納得する。

以前は、週末にスポーツクラブで汗を流した後、ヘロヘロになった状態で、帰路につくときにはこのCDを車の中で流していたりすることが多かったのだが、コロナ禍になってからは、スポーツクラブに行くこともなくなった。再び、ヘロヘロの体で、運転しながらキースジャレットの演奏を楽しむ日が早く戻ることを願うばかりだ。

コロナワクチン2回目接種後の副反応、聞いてました?

オリンピック初日に首都圏3県の緊急事態宣言を口走るのは不謹慎?でご報告した通り、7月半ばに1回目のワクチン接種を済ませた。種類はモデルナ社製だ。

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そして第2回目は今週だった。前回は、発熱はなかったものの、モデルナアームはしっかり出て、(おお、確かに打ったということだな)などと、呑気なことを思っていたのだが、二回目はそうは問屋が卸さなかった。

接種は午前中、その日の午後には自宅に戻り、幾つかの電話会議をこなした。その間、特段、体調に変化はみられず、仕事のあとは普通に夕食を取ったのだが、食後辺りから、どうも体調が優れない。早めに床に就いたものの、注射した側の腕の痛みに加えて、体中が痛みというか、違和感に襲われて寝付くことができない。うつらうつらしながら、そのまま朝を迎えた。体温を測ってみると、37度1分ある。一回目の接種後は、発熱はなかったから油断していたのだが、2回目の副反応は甘くなさそうだ。生憎この日も朝から電話会議が目白押しだ。だましだまし会議をこなしていくのだが、その間も体調が悪化していくのが自分でもわかる。会議の合間に体温を測ってみると、37度8分まで上がっていた。なんとか軽めの昼食を取り、午後は横になりたいところだったが、こんな時に限って、クライアントとの電話会議が入っている。部下に、「俺がいなくてもできるよな?」と聞いたところ、「お願いですから勘弁して下さい。」との返事が。正直に言えば、ハナから期待していなかったので、冗談交じりに聞いたのだが、これも自業自得、部下の育成は喫緊の課題だと痛感した。(部下の教育は誰の仕事か、とか、忙しすぎて部下の教育ができないというのは…、とか、偉そうなブログをアップしているくせに、全くお恥ずかしい限りだ。)

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結局この日は、体温が37度前半と後半の間を行ったり来たり。昨日同様、夕食後は早めに床に就いた。昨晩に比べれば、肩の痛みも体の痛みの大分軽めで、そこそこ睡眠を取ることが出来た。翌朝、体温を測ると36度7分。平熱よりは高いが、それでも昨日と比べると体は大分、楽になった。

午前中に社内の電話会議があり、その中で、同僚たちに2回目接種後の顛末を話すと、皆、同じような経験をしていたことがわかった。1回目接種の際に、たまたま接種会場で遭遇した同僚も、2回目の方が副反応がきつかったという。こんなことなら、2回目接種後は予め休みを取っておけばよかったという結論に落ち着いた(さもなければ、社内ネットで公開されているOutlookの予定表の空きスロットに、どんどん会議の予定を詰め込まれてしまう…)のだが、そもそも、2回目接種後の副反応が、これほどの頻度、重症度だと、事前に聞かされていたのだろうか、ふと疑問に思った。

厚生労働省のホームページには、8月4日付で新型コロナワクチンの副反応についての最新データが公開されている。

www.mhlw.go.jp

タイトルは“健康観察日誌集計の中間報告”。調査対象は自衛官である。それによると、モデルナ製ワクチンの2回目接種後の主な副反応の種類と頻度は以下の通りだ。

発熱(37.5℃以上):78.4%

発熱(38℃以上):61.9%

接種部位反応:91.9%

全身症状:88.6%

倦怠感:83.9%

頭痛: 67.6%

発熱が8割弱!?マジか、これは。こんな数字を予め聞かされていたら、間違いなく2回目接種の翌日は有休を取ってましたよ。接種前に聞かされていた話と随分と違わないか?さらに言えば、この報告の最後のページには「発熱等のため、39%が病休を必要とした。」とある。自衛官と言えば屈強なイメージがあるが、それでも39%が病休を必要としたというなら、我々一般人なら、病休は必須なのでは?

そんなことを思いながら、接種前にもらったワクチンの説明書を確認してみる。副反応については重篤なもの(アナフィラキシーショック)にフォーカスされていて、それ以外の副反応については、頻度、重症度も記載がない。はっきり言って、これでは判断のしようがない。

それでは、医療関係者向けの文書ではどうか。添付文書(医薬品等のパッケージに同梱されている、使用上の注意や用法・用量、服用した際の効能、副作用などを記載した書面)であれば、医師や薬剤師の目に触れることもあるだろう。まず、目に留まったのは “11.2 その他の副反応”。アナフィラキシー等の重篤なもの以外の副反応の種類と頻度が表になっている。しかし、残念なことに1回目接種と2回目との区別はない。だが、さらに見ていくと、“17.1.1 海外第Ⅲ相試験”、“17.1.2 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験”、“17.1.3 海外第Ⅱ/Ⅲ相試験”の項目で、それぞれの試験における2回目接種後の副反応の発生頻度が記載されている。発熱のデータだけをピックアップしてみると、以下の通りだ。

海外第Ⅲ相試験:15.5% (口腔内体温が38℃以上)

国内第Ⅰ/Ⅱ相試験:40.1% (口腔内体温が38℃以上)

海外第Ⅱ/Ⅲ相試験:発熱についての記載なし

海外第Ⅲ相試験、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験とも1回目接種に比べて格段に頻度が上がっている(一回目接種後の発熱の頻度はそれぞれ、0.8%、2.0%)なのだが、それについての見解、或いは注意喚起は添付文書中には見られない。2回目接種後の副反応について、唯一触れられているのは“15.1 臨床使用に基づく情報”の中で、海外で報告されている心筋炎、心膜炎ついてのみだ。

このデータを見ても、2回目接種後の副反応の発生頻度増加及び程度の上昇は明らかなのに、それを接種対象者に伝えなくて、本当によいのだろうか?

気になって、辿り着いたのは、審査報告書。これは、製薬会社が医薬品の承認申請の際に提出したデータを、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構、国の審査機関)が審査した内容が記載されている。こちらも厚生労働省のホームページで公開されてます。

見てみて、まず気が付くのは、随分と黒塗り部分が多いということ。“役所の黒塗り”というと評判が悪いが、医薬品開発について言えば、ノウハウや特許等、企業秘密に関することも多かろうから、まあ、公開するにあたってこのような措置も仕方がないことと思う。むしろ心配なのは、厚労省・PMDAの職員が、審査の過程で知り得た企業情報を外部に漏洩したりしないかということ。本来あってはならないことだが、最近の厚労省も含めた官僚達の度重なる“不始末”を見るにつけ、そんなことすら想像してしまう。まあ、これは今日のお題とは離れるので、ここまでにして、審査報告書の内容に戻ろう。

臨床試験(治験)の結果については、24頁から始まる“7. 臨床的有効性及び臨床的安全性に関する資料並びに機構における審査の概略”の中に記載されている。

国内1試験、海外3試験の計4試験についての説明があるが、“7.R.3 安全性について”の“7.R.3.1.1 有害事象について”で取り上げられているのは、国内1501試験と海外301試験の2試験だ。

それぞれに副反応については、国内1501試験については表12(25頁)、海外301試験については表18(32頁)に詳しく記載されている。中の数値を見たところ、添付文書に記載されている海外第Ⅲ相試験が海外301試験、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験が国内1501試験のようだ。紹介されている数字も添付文書に記載されている通り。しかし、49頁に次のような記述を見つけた。

多くの被験者に認められた全身反応は日常生活に影響を及ぼす可能性があり、グレード3の全身性の特定有害事象が一定の割合で認められていること、並びに1回目接種後よりも2回目接種後で発現割合が高い事象が認められていることは、本剤の被接種者にとって重要な情報であり、情報提供が必要である。

そう、PMDAは、2回目接種後で副反応の発現割合が高いことは周知されるべきと言っていたのだ。にもかかわらず、すでに紹介した通り、ワクチンの説明書にそれに関する記載は全くなく、医療関係者向けの添付文書にもデータを表で示すのみで注意喚起はない。結果、私を含めて多くの一般市民は、2回目接種後で副反応が“キツい”ことは知らされず、事前に有休を取るという判断も出来なかったのだ。PMDAが審査報告書にはっきりとあのように記載しているにもかかわらず、なぜ周知されるような対策、簡単に言えば、説明書への記載はなされなかったのか。誰がどう判断してそうなったのか、理由を聞かせろと思うのは私だけではあるまい。

いずれにせよ、2回目接種後の副反応が多くの接種者で発生し、それが日常生活に影響を及ぼすようなものであることは、自衛官たちの調査結果を待たずとも明らかだ。

「2回目接種日の翌日は有休を取得!」、部下たちには徹底させることにしようと思う。

やってしまった。

8月8日に“お久しぶりです、8割おじさん”と題したブログを投稿した。その中で紹介したのは、西村秀一氏の新著、『新型コロナ「正しく恐れる」Ⅱ 問題の本質は何か』

と、同氏が昨年出版した『新型コロナ「正しく恐れる」』。

この時点で既にピンと来たかたもおられると思うが、著者の西村秀一氏のことを、「8割おじさん」こと京都大学の西浦博教授と、完全に勘違いしてしまったのだ。

ブログに書いた通り、8月7日付新聞朝刊の書評欄に西村氏の著書が紹介されていた。それを見た瞬間、どうしたわけか、「あの“8割おじさん”の著書」と認識してしまったのだ。一度そういう“モード”なってしまうと恐ろしいもので、今にして思えば、何回か頭に“?”が飛ぶべき情報に遭遇しても後戻りできない。例えば、西村氏の肩書は国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長で、著者紹介でもそのように記載されていることは自分も確認していた。一方、西浦氏が京都大学所属であることも自分は知っており、本来であればこの時点で、何か“おかしい”ことに気付くべきだった。 “ニシムラ”と“ニシウラ”で、カタカナにすれば一字違い、語感も似ていると言えば言えなくもないが、それが間違いに気付かない理由にもならない。完全な思い込みである。

そんなわけで、ほどなくブログを書き上げ、そのまま投稿してしまったわけだが、“異常”に気が付いたのは、投稿翌日夜のテレビのニュース番組を見ていた時だ。コロナ関連の報道で西浦博氏の姿を拝見した時、画面に氏の名前が映し出された。その時、(自分がタイプした文字と“字面(じづら)”が違う…)と感じたのだ。そのあと、すぐに確認すればよかったのだが、(明日確認すればいいか)などと呑気に考え、その晩はそのまま床に就いてしまった。

さて、翌朝、Gmailの新着を見てみると、Google フォームからの着信で、“「お問い合わせフォーム」に新しい回答があります。”とのタイトルが。この時の心境は正に “背筋が凍る”そのものだった。案の定、お問い合わせフォームに届いていたのは、「8割おじさんは西村さんではなく西浦さん。人違いです。」とのご指摘だった。“後悔先立たず”とは正にこのことで、昨晩確認しておけばなどと思っても後の祭り、できればすぐに訂正ブログを投稿したかったが、連休明けの週明けで、朝から電話会議の予定が詰まっており、時間に余裕がない。とにかく、まずは間違った投稿を削除したのだった。

それにしても自分のお粗末さに恥じ入るばかりだ。また、ご指摘下さった方には感謝しかありません。

今にして思えば、ブログそのものも大したことが書かれていなかった。書評に

スーパーコンピューターの富岳が飛沫(ひまつ)の拡散範囲を計算していたが、「隣の席からの飛沫がいちばん近くて多いという、わざわざお金をかけてコンピューターを使わなくても常識でわかることを見せて」いる。思わずふき出してしまった。”

とあったのを引用して、自分の過去のブログ(“第三波”とスーパーコンピュータ)でも、

「正直に言うと、『あれをスパコンで計算する必要があるのかなぁ』とも思う。咳をすれば飛沫が飛ぶのは当たり前、詳細まではわからなくとも、向かいの家に住むおばあさんに富岳と同じ質問をしても、似たような答えを聞けそうだ。』

と書いていたのを紹介した。

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このブログを書いた昨年11月から、状況が変わらないどころか、どんどん悪化していることに、官僚、政府の無為無策を嘆いたのだったが、要は、やる気も能力も無い与党には解散・総選挙に打って出てもらって、とっとと政権交代してしまえと言いたかっただけのことだ。

それにしても、今回の件では肝を冷やした。と同時に、自分にとってはいい薬になったと思うのだった。