アラ還オヤジの備忘録

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部下の教育は誰の仕事か


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社員教育は誰の仕事か」と問われれば、10人中9人、或いはもっと多くの割合の人が「それは教育研修部の仕事」と答えるに違いない。それでは、「部下の教育は誰の仕事か?」と問われたらどうだろう。「上司の仕事」というのが、大方の反応だろうが、それでは、皆さんは自分の上司から、どのような教育を受けてきましたか?

 

教育研修部が提供する「教育」と、上司が部下に提供する「教育」は、多くの場合、意味が異なっている。教育研修部が提供する教育は、教育の対象となる社員の所属や階層に応じてプログラム化され、その進捗もトラックされる。一方、上司が提供する教育は、多くの場合、OJTの名のもと、業務を遂行するための「指示」と一体化していることが多い。例えば、マネージャー達にこんな質問をしてみてはどうだろう。「あなたは部下の教育に一週間/一か月/一年のうち、何時間を充てていますか?」。マネージャーの多くは、こう答えるだろう。「OJTを業務の一環として行っており、特段の時間は充てていない」。自分自身の経験を振り返っても、自分のボスから「業務指示から切り離された」教育を受けた経験を思い出すことができない。例えば、私のボスが外部から講師を招き、私を含めたボスの部下たちを集めて合宿形式の「教育」を提供したりすることはあった。しかし、それは私のボス自身が”自ら行う”教育ではなかった。

 

こんなことを書くと私は上司に恵まれていなかったように思われるかもしれないが、私くらいボスに恵まれていた人間はいないと思う。特に若手の時代、それら上司から学んだことが、その後自分自身がボスになったときにどれほど役立ったこことか。彼らは、有体に言えば「メンター」と言えるかもしれないが、メンタリングと「教育」とは、また、違ったカテゴリーのように思う。

 

かく言う私も、実は長い間「教育は教育研修部の仕事」と信じて伺わなかったくちだ。そんな私が、部下の教育について真剣に考えるきっかけになったのが、「HARD THINGS」(ベン・ホロウィッツ著)だ。

ホロウィッツは自著の中でこう述べている。

「私は、アンディ・グローブの古典的経営書『インテル経営の秘密』の第16章「なぜ教育はボスの仕事なのか」を読み、この本が私のキャリアを変えた。」(なお、1996年に出版された本書は、一旦廃刊となったが、2017年、「HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント)」として再出版された。)

ホロウィッツがグローブの本を読んで自らの行動を変えたように、私もホロウィッツの本を読んで、自らの部下たちへの教育に対する考えを変えた。ホロウィッツの本を読んで以降、毎月「マネジャー・トレーニング」と称して、自らが講師となり2時間弱のセッションを持つようにしたのだ。

 

「部下にとっては、月に2時間弱も業務に直接関係ないトレーニングに時間を取られていい迷惑なんじゃないか。」と思われる向きもおられよう。しかし、意外にも部下たちからの評判は悪くないらしい。一体、何のために、どのようなトレーニングを行い、それがどのような結果をもたらすのか。ご興味のある方は、ホロウィッツの本だけでなく、グローブの本もご一読されることをお勧めしたい。