アラ還オヤジの備忘録

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ジュニア社員の業務管理


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長くマネジメントに携わっていれば、その時々にいろいろな種類のピンチに遭遇する。外資系企業の子会社であれば、四半期毎の業績についてはもちろんだが、ピープルマネジメントについても思わぬ落とし穴があり、目配りは欠かせない。近頃は、何か気に入らないことがあれば、本社CEOに対して直接メールを送ったりする”猛者”もいて、気が抜けない。しかし、さらに深刻なのは、現場の疲弊、特にジュニア層のパフォーマンスを上げるための教育、指導に関する問題だ。ある程度の経験値があれば、社員自ら現状に対処する何らかの”術(すべ)”というものを身につけているものだ。しかし、ジュニアはそうはいかない。問題にぶつかった際、自分が問題にぶつかっていると”認識”し、ラインマネージャーに相談すればよいが、中には、天井を見上げながら、一日(どうしたらいいのか?)と一人で悩んでいるジュニアもいたりする。

 

本来であれば、そういうジュニアを見つけ出し、適切にサポートするのがラインマネージャーの役割なのだが、時に、そのような機能を果たせない、或いは果たそうとしないラインマネージャーに遭遇することもある。このようなケースは稀ではあるが、ひとたび発生すれば、その代償は大きい。最悪、少なくない社員が離職するというケースもあり得る。

 

以前、あるプロジェクトで、東京と大阪にそれぞれチームを編成したことがあった。生憎双方のチームにある程度のジュニアメンバーを配置せざるを得ず、東京と大阪、それぞれのラインマネージャーにそのサポートを依頼した。

 

しばらくすると、大阪のチームから、日々疲弊の度合いが増しているとの報告が上がってきた。顧客からの業務範囲(Scope of Work:SOW)変更要請が頻繁で、特にジュニアメンバーがそれについていけていないと言うのだ。詳しく話を聞いたところ、確かにSOW変更の業務量に対するインパクトは少なくなく、何らかの対応が必要と思われた。その一方で、特にジュニア層は、「SOW変更の際に、何をどの順番でどう対処したらいいのかわからない」という状況に陥っているようだった。

 

私は大阪のラインマネージャーに対して、「ジュニアメンバーに対しては、毎日、その日一日でこなすべきタスクを確認するため、毎朝、短時間でよいので面談するように」と指示した。ラインマネージャーの回答はこうだった。「すべてのジュニアと毎朝ミーティングして、その日のタスクを確認するなど到底不可能だ。一体それにどれほどの時間が必要と思うのか。とてもそのようなことをしている暇はない。」

 

この後どうなったかについては、ご想像にお任せするが、皆さん自身は、「毎朝、ジュニアメンバーとミーティングして、タスクを確認しろ」とボスから命令されたらどう思われるだろうか。やはり、時間がかかりすぎて不可能と考えるだろうか。

 

トヨタに学んだ「紙1枚」にまとめる技術」(浅田すぐる著)では、1枚の紙に、8から16のマス目を用意し、そこに、その日1日のタスクを記入することを薦めている。記入に与えられる時間はなんと2分。その後、マス目に記載された内容に優先順位をつけ、今日絶対にやらなければならないことと、そうでないことを明確化することによって、結果的に時間の余裕が生まれるという。ちなみに、「忙しい」と言っている人でも、8マスが埋まらないケースも多いとか。

若い社員と話をしていると、時に「日々の仕事の優先順位がつけられない。」、あるいは「忙しすぎてどうしたらよいかわからない。」という悩みを聞くことがある。そんなとき、「だまされたと思ってこうしてごらん。」と本書の内容を紹介すると、後日、「とても助かりました。」と感謝されることが多い。

 

かのジュニアたちにも、あの当時にこのような指導ができていれば、と実に悔やまれる。(本当にこのような指導をすべきだった相手は、彼らのラインマネージャーであったのかもしれないが。)