アラ還オヤジの備忘録

雑感や、その他諸々。

Excelと、“why”の先にあるもの


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今朝ほど、Yahooニュースのアクセスランキング(IT総合)を見ると、一位はExcelの話題だった。Excelで作成した書類を印刷してみると、画面に表示されたものとは違ったものが出てくるとか、まあ、“Excelあるある”だ。

現在のビジネス社会でExcelのない世界を創造するのは難しいが、今からおよそ40年前、自分が大学を卒業し、新入社員として企業に就職したときは、Excelはおろか、Windowsすらない時代だった。その頃は、まだ、ワープロ専用機が全盛で、パソコンにワープロソフトをインストールして使うというのは、そのしばらく後だったと思う。ワープロ専用機にしても、最初の頃は、タイプした文字を表示する画面が一行分(!)の大きさしかなく、その後、ブラウン管(液晶じゃありません)で全体を見ることができるようになったのは、画期的なことだった。

さて、話をExcelに戻すと、その歴史を見ると意外なことがわかる。実は、ExcelはもともとMac専用ソフトだったのだ。MicrosoftMac専用ソフトを開発するのも不思議なのだが、あの頃は“Macでしか使えないソフト”が結構あり、それらのソフトを使用したいがためにMacを使うという人も少なくなかった。

パソコンの起動音とピクサー映画で書いた通り、海外の取引先とのビジネスの関係でMacを使い始めることになった自分は、Excelを含め、それらの“Mac専用ソフト”に触れたのも早かった。何しろ、Excelはおろか、Wordですら最初はMac専用だったのだ。それ以外にも、FileMaker(データベースソフト)やらPersuasion (プレゼンテーションソフト、パワポのようなもの、というか元ネタと思う)やら、“選り取り見取り”だった。ちょっと変わったところでは、JMPというのもあった。

SASが開発したMac専用の統計解析ソフトで、その秀逸さに文字通り目を奪われた。こいつには随分とお世話になったものだ。(現ユーザー達にとっては、JMPが元々Mac専用だったとは思いもよらないだろう。JMPの名前の由来が”John's Macintosh Project”と知ったら、それこそ腰を抜かすのではなかろうか。)

そんなわけでExcelを使い始めたのも随分と早かったのだが、どれくらい早かったかというと、ちょうど昭和から平成に変わる頃だったと思う。昭和64年=平成元年は1989年、およそ32年前のことだ。“昭和!?”と驚かれる方もいようが、逆に考えれば、登場してから30年余り経っても、Excelを凌駕するコンセプトを持ったビジネスソフトが登場していないとも言える。

それにしても、最初にExcelを使い始めた頃はというと、周りのExcelに対する評価は結構厳しかった。こんな便利なものがあるなら、同じチームメンバーにも教えてやろうと、使い方をあれやこれやと説明するのだが、中には“Excelって、本当に使えないな”などと言うヤツが出てくる始末。今なら“使えないのはお前のほうだ”と言ってやれるのだが、当時はExcelの評価も定まっていないから、言い返すことが出来ず仕舞いだった。

さて、それから30年、使うパソコン(と言うかOS)はMacからWindowsに変わったが、さすがにこれくらい長期間使っていると、Excelの“癖”というか、立ち居振る舞いは大体把握できている。件の印刷問題も、確かにその通りなのだが、30年も使っていると、古い友達のようなもので、そんな“癖”もなんとなく許してしまう。

逆に、周りを見ていると、“もっと便利な使い方があるのに”と思わずにいられない場面に出くわすこともある。いつだったか、台湾オフィスの女性社員に人事関係のExcelファイルを送ると、「日付データの隣に曜日も入力して」とのこと。(そんなもん、自分でやれよ。曜日データなんて日付を使った関数で一発計算だろ)と思ったものの、感じの悪いヤツと思われるのも嫌なので、ハイハイ、とさっさと曜日を関数計算した列を追加して再送信したのだった。こんなことは初歩の初歩だが、Excelを使う上で、(こんなことができたらいいな)と思うことは、ほぼ間違いなくそのような機能が実装されているという印象だ。伊達に30年以上も生き延びているわけではないのだ。

そんなわけで、ひょんなことからMac & Excelを使い始めた自分だが、今ではMacに触れることもない、全くのWindows派だ。パソコンの起動音とピクサー映画で、「あのボンダイブルーiMacを最後に、Windowsに宗旨変えすることになるのだ」と書いたが、その理由はごく単純なこと、要は“Macでしか使えなかったソフトが皆Windowsでも使えるようになった”からだ。アート等の世界ではどうかわからないが、少なくとも自分が属するビジネス分野においては、“Macでしか使えないソフト” は、ほぼ現存しないと思う。であれば、敢えてAppleというブランドに対して“プレミア価格”を支払ってまでMac固執する理由はない。実際、自分の周りを見ても、同業他社でMacを使っている会社は、まず見掛けない。Macなんぞを使っていたら、逆に(なんてコスト意識の低い会社だ)と思われかねないほどだ。自宅で使うパソコンにしても、誰かに見せびらかす必要もないので、自分としてはWindowsで十分、結果、約8年前に買った富士通のノートパソコンで、今も、このブログのテキストを打っている、ということになる。

Mac/Appleと言えば、以前、Go To Eatの“Why”は何か?で、サイモン・シネックの「WHYから始めよ!」(原題:Start with Why)を紹介したことがあった。

本書の中で、著者は、Appleの成功理由として、「自分たちがそれをする“理由”からスタートしている」と説明している。確かにWhyは重要だ。しかし、その一方で「“Why”だけで顧客を繫ぎ止めておくことができるほどビジネスの世界は甘くないのでは」とも、正直思う。現に、かつては熱烈なMacユーザーだった自分も、今はMacを顧みることはない。だったら、どうすればよいのか。実は、これに対する回答と言える本がある。Scott McKainのICONIC (Forefront Books) だ。

著者は、本書の中で“DOES “WHY” MAKE YOU DIFFERENTIATED?”という章までたてて、自分はサイモン・シネックに同意しないとしている。

邦訳はないかとちょっとググってみたが、今のところ出ていないようだ。もし、邦訳の予定も立っていないのであれば、是非お願いしたいところだ。実は、昨年1月、私はL.A.で著者ご本人にお目にかかる機会があった。どちらかの出版社さん、もし、ご興味があるようでしたら、繋ぎますよ。私でよければ、翻訳も致しますので。